ガス溶接の逆火とは:原因、安全器のしくみ、起きたときの順番
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逆火が起きるしくみ
火口からは、酸素と燃料ガスを混ぜたガスが出ています。炎がガスを燃やしながら戻ろうとする速さが燃焼速度、ガスが火口から出ていく速さが噴出速度です。この2つのつり合いで炎の位置が決まります。

燃焼が勝つと炎は中へ戻り、噴出が勝ちすぎると炎は離れて消えます(ブローアウト)。
逆火の原因
補助教材は次の原因を挙げています。
- 火口の温度の上昇、流量の不足、混合の割合の変化で、燃焼速度がガスの流れより速くなった
- 火口の先が母材に触れたり、スパッタで詰まったりして塞がれた
- LPG 用の火口をアセチレンで使った
- パージの不足や空気の漏れで、燃料ガスのホースの中に空気があった
- 酸素ホースの中に金属の粉や、以前の逆火の煤が付いていた
アセチレンはプロパンより燃焼速度が速いガスです。そのため火口はガスごとに作りが違い、アセチレンを別のガスの火口で使うと逆火が起きて危険です。
起きたときに閉じる順番
補助教材は、作業中に逆火を起こしたときの順番を次のように示しています。
- 予熱酸素のバルブをただちに閉じる
- 燃料ガスのバルブを閉じる
- 切断酸素のバルブを閉じる
- 酸素と燃料ガスの容器弁を閉じる
- 圧力調整ハンドルを緩める
ふだんの切断の消火とは順番が違います。ふだんは切断酸素から閉じますが、逆火のときは予熱酸素からです。

再開の前に
原因が分からないまま再開してはいけません。火口の清掃と締め直し、ガス漏れの確認などを行い、原因を特定して対策をとります。
安全器の役割
安全器は、戻ってくる炎を止める器具です。今は乾式安全器(逆火防止器)が広く使われ、圧力調整器に組み込まれた型もあります。補助教材は、可燃性ガスの圧力調整器に乾式安全器が付いていないときは、ホース側に取り付けるよう説明しています。

法令の決まり
安全器の設置を直接定めた条文は、次の2つの設備についてのものです。
| 設備 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| アセチレン溶接装置 | 第306条 | 吹管ごとに安全器を備える。主管と、吹管に最も近い分岐管ごとに備える方法もある |
| ガス集合溶接装置 | 第310条第2号 | 主管と分岐管に設け、一の吹管について安全器が2つ以上になるようにする |
また一般高圧ガス保安規則第60条第1項第13号は、溶接や熱切断用のアセチレンガスの消費は、逆火、漏えい、爆発などによる災害を防ぐ措置を講じて行うと定めています。
安全器があっても
安全器が働いても、そこまでの吹管とホースの中には炎が進みます。機器が傷み、中に煤が付き、あとで燃えることもあります。補助教材は、音速を超える「デトネーション」でホースが破裂するおそれや、安全器が働かなければ容器まで炎が戻るおそれにも触れています。
逆火を防ぐために
- 作業前にホースの中の空気を出す(パージ)
- 火口の先を清掃し、確実に締める
- 火口を母材にぶつけない
- 長く続けて加熱して、火口を熱くしすぎない
- ガスに合った火口を使う
- 一度逆火したホースは点検する。煤が付くと再び逆火したときに激しく燃える
点検の項目は吹管と圧力調整器にまとめています。
まとめ
- 逆火は炎が吹管やホースの中へ戻る現象
- 原因は燃焼速度とガスの流れの関係、詰まり、空気の混入など
- 閉じる順番は予熱酸素、燃料ガス、切断酸素、容器弁
- 安全器があっても、繰り返すと機器が傷む
- 原因が分かるまで再開しない
よくある質問
- 逆火とは何ですか?
- 炎が溶接器やホースの内部へ戻り、中の可燃性ガスが燃える現象です。フラッシュバックとも呼ばれます。
- 逆火を起こしたらどのバルブから閉じますか?
- 補助教材では、ただちに予熱酸素バルブを閉じ、続いて燃料ガスバルブ、最後に切断酸素バルブを閉じます。そのあと容器弁を閉じ、圧力調整ハンドルを緩めます。
- 安全器を付けていれば安心ですか?
- いいえ。安全器が働いても、そこまでの吹管とホースには逆火が進みます。繰り返すとホースの内部が傷み、破裂することがあります。
- 逆火のあとすぐ作業を再開できますか?
- 原因を特定して対策をとるまで再開してはいけません。